教育費の不安が広がる時代に親が考えたい子どもに合う学び方とは
子育てノウハウ
2026.06.26
教育費の負担が重くなる中で、親はどこまで子どもにお金をかけるべきか悩みます。
教育経済学者の中室牧子さんの考えをもとに、子育てと教育費について考えます。
(※2026年1月23日の朝日新聞の記事を参考にしています)
目次
教育費への不安は多くの家庭にある
子どもの進学、塾、習い事など、教育に関する出費は家庭にとって大きな課題です。
物価高や授業料の値上げが続く中で、大学生を含め、学ぶ側にも家計を支える側にも不安が広がっています。
教育経済学者の中室牧子さんは、教育熱心な家庭ほど、この先いくら教育費をかければよいのか不安になりやすいと指摘しています。
文部科学省の2023年度調査では、幼稚園から高校まですべて公立に通った場合の学習費は計614万円です。
一方、すべて私立に通わせると2千万円近くになるとされています。
この差を見ると、教育の選択が家計に与える影響の大きさを実感します。
私も一般の親の感覚として、子どものためにできることはしてあげたいと思う一方で、どこまでが必要なのか分からなくなる気持ちはよく分かります。
お金をかけるほど安心とは限らない
公教育の内容や教員不足に不安を感じ、家庭がお金をかけて子どもの選択肢を増やしたいと考えること自体は、自然なことです。
ただし、中室さんは、幅広い選択肢を選べる権利が裕福な家庭の子どもだけに偏ることは、日本に限らず大きな問題だと述べています。
政府が教育にもっとお金をかける必要はあるものの、どこに使うかは慎重に考えるべきだという考えです。
たとえば私立高校授業料の無償化については、私立校の便乗値上げが起きれば家計負担が実質的に減らない可能性があります。
また、浮いたお金を高所得家庭がさらに教育へ回せば、教育費の支出競争が強まる恐れもあります。
これは少し怖い話だと感じました。
本来は子どものための教育なのに、周囲との競争に巻き込まれて、親も子どもも苦しくなることがあるからです。
周囲と比べることで膨らむ負担
教育費への考え方は、地域によっても違います。
中学受験が盛んな東京と地方では、保護者が見ている景色も異なるかもしれません。
中室さんは、周囲の人が教育にお金をかけていると、自分の子どもは大丈夫だろうかと不安になり、教育費が膨らむ現象に触れています。
韓国の研究では、他者の行為に影響を受けるステータス外部性が、子どもの教育にもあることが明らかになっているそうです。
韓国では、それが子どもを持つことに消極的な人を増やし、少子化につながっているとも言われています。
日本でも、東京など一部の都市では、偏差値という一つのものさしをめぐり、少しでも高い場所を目指して競うようにお金をかける家庭があるといいます。
私自身、周りの子が塾に通い始めると、何もしていないことが不安になる気持ちは想像できます。
しかし、その不安が本当に子どものためなのか、親の焦りなのかは、立ち止まって考える必要があると思います。
将来につながる力をどう育てるか
中室さんは、成績や受験といった短期的な成果よりも、学校を卒業したあとに役立つ教育の方が大切だとしています。
学力テストは人間の能力を正確に測るものとは言えず、1点の違いで合否が変わることもあります。
また、多くの有力な研究では、偏差値の高い大学に進学することが将来の収入に与える効果はほとんどないか、あっても極めて小さいと示されているそうです。
一方で、スポーツをすること、リーダーになること、非認知能力を高めることは、将来の収入に良い影響を与えるとされています。
子どもの頃のスポーツやリーダー経験は、忍耐力や責任感を育てたり、就職で有利に働いたりすることが分かっているとのことです。
勉強以外の経験が将来に関わると聞くと、少し気持ちが楽になります。
子どもの価値をテストの点数だけで見ないことは、家庭でも意識したい点です。
親の願望ではなく子どもの適性を見る
学力や学歴の獲得には、遺伝の影響も強いとされています。
記憶力や集中力があり勉強に向いている子もいれば、受験勉強が得意ではない子もいます。
中室さんは、受験に向いていない子に親が重くお金をかけて無理に勉強させ、本人の関心や才能をつぶしてしまっては意味がないと話しています。
親だからといって、必ず子どもの適性を見極められるわけではありません。
そこに親自身の願望が入り込んでいないか、注意が必要です。
子どもが回り道や寄り道をしながら、自分は何が好きなのかを考えられることも大切です。
教育費をかける前に、まず子どもの表情や関心をよく見ることが必要なのだと思います。
親は先回りしすぎず、温かく見守る姿勢を持ちたいものです。