子どもの特性に早く気づく5歳児健診と小学校入学前の支援

キッズパーク豆知識

5歳児健診は、子どもの発達特性に早めに気づき、小学校生活に向けた支援につなげるための取り組みです。
親としても地域の大人としても、見過ごせないテーマだと感じます。
(※2026年1月18日の朝日新聞の記事を参考にしています)

入学後に困りごとが表面化する前に

5歳児健診は、子どもの発達の特性を見つけ、必要なサポートにつなげることなどを目的とした健診です。
1歳6カ月児健診や3歳児健診に比べると、まだ聞き慣れない人も多いかもしれません。
私自身も、子どもの健診といえば乳幼児期のものという印象が強く、5歳で改めて健診を受ける意味を知ると、とても大切な機会だと感じました。
特に小学校入学前は、生活環境が大きく変わる時期です。
集団で話を聞く、座って活動する、先生の指示を理解して行動するなど、保育園や幼稚園とは違う力が求められます。
その前に子どもの困りごとに気づけるかどうかは、入学後の安心感に大きく関わると思います。

早く気づけなかった後悔

九州地方に住む38歳の女性は、小学1年生の長男の学校生活に悩みを抱えていました。
長男は保育園の頃から、食事中にじっとしていられなかったり、急に車道へ出てしまったりすることがあり、日常生活や集団生活に不安があったそうです。
保育士に小学校生活への不安を相談しても、大丈夫と言われるだけで、入学前の就学時健診でも特に指摘はありませんでした。
その後、自治体の発達相談で検査を受け、いくつかの特性を指摘されましたが、入学準備には時間が足りませんでした。
結果として、長男は十分な支援がないまま進学し、板書の書き写しや先生の指示通りに動くことが難しく、少しずつ自信を失っていったといいます。
親の立場で考えると、これはとてもつらいことです。
子どもが困っているのに、何をどう相談すればよいのか分からないまま時間だけが過ぎてしまうことは、決して珍しくないのではないでしょうか。

5歳という時期に見る意味

国は2023年度から、1カ月児健診と5歳児健診の実施体制を整えるため、自治体への助成を始めています。
国の要綱では、5歳は言語の理解能力や社会性が高まり、発達障害が認知される時期とされています。
つまり、5歳児健診は単に病気の有無を見るだけでなく、子どもがどのように人と関わり、生活し、学びに向かっているかを見る機会でもあります。
東京都千代田区では、身体発達の測定、小児科医による診察、保健指導のほか、必要に応じて心理相談なども行っています。
さらに、心理職が社会性を見る集団遊びがある点は、他の乳幼児健診にはない特徴です。
一般市民の感覚としても、短い診察だけでは分かりにくい子どもの様子を、遊びや集団の中で見ることには意味があると感じます。
家庭では困っていなくても、集団の中で初めて見えてくる特性もあるからです。

支援につなげる仕組みが欠かせない

健診で対応が必要と判断された場合、千代田区では子ども発達センターや小学校入学に向けた教育相談を案内し、保護者の同意を得て幼稚園や保育園とも連携しています。
このように、健診後の道筋が用意されていることが重要です。
ただ指摘されるだけでは、保護者は不安になるだけかもしれません。
関西大学の植田紀美子教授も、健診での指摘が親子にとってネガティブなラベリングにならないためには、伝え方やその後のフォローアップが鍵になるとしています。
これは本当に大事な視点だと思います。
発達の特性は、子どもを決めつけるためのものではなく、その子に合った関わり方を考えるための手がかりであるべきです。

地域全体で入学前の不安を減らす

こども家庭庁によると、2023年度時点で5歳児健診を実施していた自治体は14%でした。
国は今後広げたい考えですが、健診を担う医師の不足やフォローアップ体制の整備が課題とされています。
5歳児健診では、身体発育状況、栄養状態、精神発達の状況、言語障害の有無、生活習慣の自立や社会性の発達など、育児上の課題も見ます。
また、発達特性だけでなく、社会的養護の必要性やメディア依存などの生活習慣を見る点でも重要とされています。
小学校入学は、子どもにとっても保護者にとっても大きな節目です。
だからこそ、困ってから支援を探すのではなく、入学前から相談できる仕組みが広がってほしいと感じます。