モヤモヤが多い?男性の育休-本当の価値とは
キッズパーク豆知識
2026.04.10
男性の育児休業取得者は年々増加しています。
国が実施した昨年度の調査では、取得率が初めて40%を上回りました。
しかしながら、女性の取得状況と比較すると依然として差が大きく、取得期間も短い傾向にあります。
夫婦が協力して子育てに向き合うことで得られる大切な価値とは何かについて、男性の育休促進に取り組む2人に話を伺いました。
(※2025年11月14日 朝日新聞の記事を参考に要約しています。)
目次
夫婦で育てる時代へ―男性育休が広げる「共育」の可能性
働き方改革コンサルタントの新井セラさんは、これまで企業や行政に対して男性の育児休業取得の重要性を発信してきました。
2019年春には「男性育休100%宣言」という取り組みを立ち上げ、すべての男性社員が育休を取得することを目指す企業や団体を募り、その賛同を公表することで、経営層の姿勢を社会に示してきました。
開始当初は約30団体でしたが、現在では200を超えるまでに広がっています。
こうした動きを背景に、制度面でも変化が進んでいます。
2022年には企業側に育休取得の意向確認が義務化され、さらに男性向けの「産後パパ育休」制度が新設されました。
2023年からは大企業に対し、男性の育休取得状況の公表も求められています。
その結果、昨年度の調査では男性の育休取得率は過去最高となる40.5%に達しました。
しかしながら、女性の取得率86.6%と比べると依然として大きな差があります。
また、男性の育休期間は短く、約6割が1カ月未満という現状も課題です。
取得率が高くても、実際の取得日数が数日程度にとどまる企業も少なくありません。
新井さん自身も、第1子出産後に夫が1カ月の育休を取得したものの、その後は一人で育児を担う厳しさを経験しました。
昼夜を問わず子どもに向き合い続ける生活の中で、不安や孤独を感じる日々が続いたといいます。
こうした体験が、「男性育休100%宣言」を始める原動力となりました。
産後1年以内に亡くなる女性の死因として自殺が最も多いことや、産後うつのピークが産後2週間から1カ月に集中することを踏まえ、新井さんは男性の育休取得が家族の命を守る行動であると強調しています。
また、新井さんは父親向けのオンライン講座も開催しています。
毎回500~600人が参加し、育休中の具体的な過ごし方や育児の実態を伝えています。
例えば、生後間もない赤ちゃんの世話は1日に何度も授乳やおむつ替えが必要であり、決して「時間に余裕がある期間」ではないことを丁寧に説明しています。
育児のスキルは夫婦ともにゼロからのスタートです。
しかし、初期段階で役割に差がつくと、一方が指示を出し、もう一方が従う関係が固定化しやすくなります。
そのため、同じタイミングで育児に取り組み、試行錯誤を重ねながら共に成長していくことが重要です。
これにより、夫婦が協力して子育てを行う「共育」が実現します。
さらに、育休は家族との時間を見直し、今後の人生を考える貴重な機会でもあります。
共働き家庭においては、夫婦で育児と仕事を両立することで、長期的な世帯収入にも大きな差が生まれるとされています。
制度面でも、一定条件を満たすことで給付金が実質的に10割相当まで支給される仕組みが整いつつあります。
企業側にもメリットがあります。
男性の育休取得を積極的に推進する企業は、採用活動においても有利に働く傾向があります。
特に若い世代の約7割が、就職先を選ぶ際に育休制度を重視しているためです。
たとえ1カ月であっても、育休は家族にとってかけがえのない時間です。
そして、育児に積極的に関わる姿勢が次の世代にも良い影響を与え、少子化対策にもつながる可能性があります。
育児を「分担」から「共に担う」へ。頼れるパートナーになるためには
ライターのヨッピーさんは、自身の子育て経験をもとに、育児を無理なく続けるための工夫を発信しています。
4年前に第1子が誕生した際、SNS上には「育児は大変」といったネガティブな情報が多く、不安を感じていたといいます。
そこで複数の育児書を手に取ったものの、「こうすべき」といった指示型の内容が中心で、負担を軽減する視点が少ないと感じたそうです。
その中で気づいたのは、育児そのものだけでなく、同時に発生する家事や仕事の在り方を見直すことの重要性でした。
例えば、洗濯乾燥機や食器洗い機を導入することで家事の時間を短縮し、調理家電や宅配サービス、家事代行なども活用することで効率化を図ることができます。
こうした工夫により、子どもに向き合う時間とエネルギーを確保することができるのです。
また、仕事面の見直しとして有効なのが育児休業の取得です。
特に男性の取得はまだ十分とは言えず、女性に負担が偏りがちです。
出産後の身体的負担が大きい時期に、母親だけに育児を任せるのではなく、最低でも1カ月程度は育休を取得することが望ましいと指摘しています。
ただし、単に休暇を取得するだけでは不十分です。
出産前から家事や育児のスキルを身につけ、1人でも一通り対応できる状態を目指すことが重要です。
パートナーにとって必要なのは、一時的な手助けではなく、安心して子どもを任せられる存在だからです。
具体的な工夫として、夫婦で睡眠の取り方を調整する方法も紹介しています。
例えば、交代で子どもと同室で寝ることで、どちらかがしっかり休める環境をつくり、結果的に双方の体調を維持しやすくなります。
第2子誕生時には、上の子の世話と新生児のケアが重なり、さらに体調不良も重なって大変な時期もあったといいますが、それでも家族と過ごす時間はかけがえのないものだったと振り返ります。
子どもから向けられる純粋な愛情は大きな喜びであり、自己肯定感にもつながるといいます。
特に新生児期にしっかり関わることで、育児への苦手意識が薄れ、子どもとの関係もより深まります。
その結果、日常的に子どもと関わる時間を大切にしようという意識が自然と生まれます。
一方で、育休の取得が難しいケースもあります。
その場合でも、時短勤務や残業の削減、リモートワークの活用など、できる範囲で関わる時間を確保する工夫が重要です。
ヨッピーさんは、仕事の柔軟性を活かし、子どもの成長の節目に立ち会うことができた経験を語り、同様の体験をより多くの人にしてほしいと話します。
また、男性が育児に関わりにくい背景には、収入面の責任や社会的なプレッシャーもあると指摘します。
本来は育児に参加したいと考えていても、環境によってその機会が制限されている場合も少なくありません。
子どもと過ごせる時間には限りがあります。
成長とともに親と過ごす時間は減っていくため、幼い時期の関わりは非常に貴重です。
育児が持つ価値を社会全体で見直すことが、これから求められています。