今どきの戦隊モノが伝える正義感とは?
キッズパーク豆知識
2026.02.27
ある社員の4歳の長男は、いわゆる「なぜ?」が止まらない時期です。
何かを見るたびに理由を知りたがります。
ある日、テレビ朝日系列で放送されている「ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー」を一緒に見ていたときのことです。
画面の中でヒーローが敵と戦っている場面を見て、息子が聞きました。
「どうして戦っているの?」私は「悪いことをする人を止めるためだよ」と答えました。
するとすぐに「どうしてその人は悪いの?」と返ってきます。
「ほかの人を困らせるからだよ」と説明すると、さらに「どうして困らせるの?」と質問が続きました。
このやり取りが続くと、答えに詰まってしまいます。
現実の世界には、誰かに迷惑をかけてしまう人がいるのも事実です。
しかし、「絶対に倒すべき悪」が本当に存在するのかと考えると、簡単には言い切れないと感じてしまいます。
(※2025年10月20日 朝日新聞の記事を参考に要約しています。)
目次
正義が揺らぐ時代のヒーロー像-善悪があいまいな時代
スーパー戦隊シリーズ50周年を記念して制作された「ゴジュウジャー」は、これまでの作品とは少し趣が異なります。
登場する5人のヒーローも敵として現れる怪人たちも、単純に善人・悪人と分けられない存在として描かれています。
彼らが争う理由は、どんな願いでもかなうとされる指輪を集めるためであり、従来のような強い正義感は前面に出ていません。
私は戦隊シリーズの変化について東映の制作関係者に取材し、その内容を7月30日付の朝刊文化面で紹介しました。
長年特撮作品に関わってきた東映の白倉伸一郎・上席執行役員によると、戦隊シリーズに見られた勧善懲悪の図式は1990年代以降、徐々に弱まっていったそうです。
冷戦が終結し、「はっきりとした敵」という構図が現実社会から見えにくくなりました。
作り手自身が絶対的な悪の存在を信じにくくなり、悪は遠くにいるのではなく、身近なところに潜んでいるのではないかと考えるようになったといいます。
大人も悩む「正義」を語ることの難しさ
白倉さんは2004年に出版した著書「ヒーローと正義」の中で、正義という概念の扱いにくさについて深く考察しています。
2003年に始まったイラク戦争では、圧倒的な力を持つ国の振る舞いが世界中に伝えられました。
自らの正しさを主張する者たちが武力を行使する現実を前に、白倉さんは「『正義』という言葉を掲げること自体が、人の命を奪う行為につながる」と記しています。
あれから20年が経ちました。
現在は、自国の利益を優先する主張ばかりが目立つ時代です。
その結果、無理にでも正義について語ろうとする姿勢さえ、社会から薄れつつあるように感じられます。
仲間の願いに見えた小さな正義
「ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー」では、10月5日の放送回で主人公の遠野吠に大きな転機が訪れました。
離ればなれになっていた家族との時間を取り戻す道と、これまで通り仲間とともに戦い続ける道のどちらを選ぶのか、重大な決断を迫られたのです。
吠は、自分の願いのために戦っている仲間たちの姿を思い浮かべ、こう口にしました。
「あいつらの願いがなくなるくらいなら、元のひとりぼっちでいい」と。
これまで孤独を抱え、ただナンバーワンになることだけを目標にしていた吠が、ここで初めて「仲間の願いを守りたい」という思いを抱いたのです。
その気持ちは、私には正義のかけらのように感じられました。
自分の得になることを優先する風潮が強い今の時代だからこそ、他人の幸せを願う心から、あらためて正義を見つめ直すことができるのではないでしょうか。
物語が描く現代的な正義の行方を、最後まで見届けたいと思います。
そして、愛する息子に対して、迷うことなく「正義はある」と伝えられるようになりたいです。
大人が見ても心に響く?
戦隊ものは基本的に子どもがテレビで観る番組ではありますが、大人でも楽しめる内容なのかもしれません。
意外と背景や設定が複雑で、考えさせられるかもしれません。