「テレワークの導入を促す制度」見直しへ

子育てノウハウ

コロナ禍で一気に広がったテレワーク。家事や育児との両立に奮闘している世帯では歓迎ムードだったようですね。
一方で、社内の人たちとのコミュニケーションが取りにくいなどといった声もありました。
また、エッセンシャルワーカーと呼ばれる人たちは、ほとんどテレワークができない職種であることも浮き彫りになりました。中小企業では、インフラの整備なども難しいです。
ただ家事や育児との両立がしやすいこと、地方での勤務が可能なことなど、メリットもたくさんあります。
この度、政府は企業にテレワークを促す制度の見直し案をまとめました。その内容を見てみましょう。
(※2024年1月15日(月)朝日新聞朝刊を参考にしています)

政府も少子化対策として注目している

とにもかくにも、少子化対策になるならば何でも進めたいのが政府。テレワークができるようにすることを「企業の努力義務」として法改正をする予定とのことです。

▼厚生労働省の審議会がまとめた報告書
【子どもが3歳未満の場合】
・従業員がテレワークで働けるようにすることを企業の努力義務とする。
・現在は短時間勤務制度の導入が企業に義務づけられている。短時間勤務が難しい場合の代替措置としてテレワークを加える。
【3歳から小学校入学前】
・従業員が希望に応じて働き方を選べる制度の導入を企業の義務とする。
・テレワークのほか、フレックスタイム制度や短時間勤務制度などから、企業が2つ以上の制度を用意し、従業員が1つ選べる仕組みとする。

コロナ禍で働き方の柔軟化は進んだ?

コロナ禍で一気に普及したテレワークですが、両立支援としてテレワークを導入する事業所は、2019年度は4.2%だったのに対し、2022年度は11.5%に増えました。
異次元の少子化対策を掲げる政府も注目しています。育児と仕事の両立につながるとして関連制度の見直し案をまとめています。この見直し案をもとに通常国会で育児・介護休業法の改正を求めました。

まだまだ女性に偏る家事育児

男女平等や雇用機会均等法など叫ばれてはきていますが、まだまだ家事育児介護の負担は女性に偏っている現状が続いています。
女性の正規雇用比率は、25歳~29歳がピークで、その後減少しています。L字を横にした形を描くことから、「L字カーブ」と呼ばれるのを着たことのある方も多いでしょう。このため、キャリアの確立ができないなどの問題もありました。
一方でテレワークは通勤の必要がなくなるため、余裕が生まれ、その時間を家事や育児に充てることができるため、とてもニーズは高いです。
中央組織・連合の2023年の調査では、共働きや子育てのために効果的だと考える施策をたずねたところ、1番目は育児休業給付金の増額、2番目がフレックスタイム制の導入、3番目がテレワークの導入、だったそうです。

両親がテレワークであることが、保活で不利にならないように

ただ、両親がテレワークを選択したことで、保育園の申込の際に不利になるのだったら意味がありませんね。
厚生労働省は、全国の自治体に「テレワークであることが保育園の入園に不利に働かないように」と通知しています。自宅にいるからといって、子どもの面倒を見ながら仕事をするのは不可能です。

負担が大きい中小企業、なかなかテレワークが進まない現状

全ての企業や職種で同じように導入するのは難しいです。
日本生産性本部が2022年7月に実施した調査によると、テレワークを導入ついて、従業員数が1,001人以上の企業は22.7%に対し、100人以下の企業は12.8%にとどまっています。
人手も少なく、通信環境やIT設備への投資もままならないこともうかがえます。
そもそも両立支援にテレワークを生かすことに否定的な企業も多いとのこと。
今後は中小企業に対し、テレワークにどれだけ後押しできるか、政府の支援も必要でしょう。