普及する?こども誰でも通園制度
子育てノウハウ
2023.10.12
2023年4月、保育園などに入れなかった、いわゆる待機児童の数は2,680人と過去最低になりました。ここ数年で量の確保はかなり進んだ感があります。
ただ、働いていなくても保育園に預けたい保護者はかなりいると国は見ています。そこで、そんな潜在的なニーズをとらえようと、親の就労条件に関わらず、短時間保育園に預けることができる「こども誰でも通園制度(仮称)」のモデル事業が展開され始めています。
目次
全国でモデル事業が展開されている
「こども誰でも通園制度(仮称)」は今年から始まりました。全国各地でモデル事業が展開されており、現在その数は31自治体あります。例えば福岡市の場合、親の就労条件に関わらず、週に1~2回保育所を利用することができます。
空いた定員のところや余裕のできたスペースを活用しているとのことです。現在福岡市の待機児童は今年の4月時点で0人となりました。5年前には40人もいたので、かなり解消されたと言えるでしょう。
そこで着目したのが、補遺県や幼稚園に通っていない未就園児。今は子育て=孤育てとも言われ、虐待やネグレクトなどのリスクが叫ばれて久しいです。
未就園児の保育ニーズはかなり高い
福岡市が8月の事業開始に向けて未就園児を募集したところ、390人が応募してきたそうです。倍率がなんと約3倍。全国の自治体でのモデル事業では同様のことが起きているそうです。
モデル事業を行うある保育園の園長は「保育園に預けることで子どもの栄養面や発達面など子どもの育ちについて良質な保育を提供できる」と語っています。子どもにとってプラス面が大きいことが強調されています。
子どもが減る中、経営に視点からも意味がある
厚生労働省が2021年に公表した資料によると、頬育所の利用園児は2025年度あたりで頭打ちになるとされています。人口の減少が進む地域では保育所の定員割れや統廃合がされているとこと。将来的には福岡市などの大都市圏でも同じような課題が出てくることが予想されます。
そのため、新たな保育ニーズに対応していくことは、経営の観点からも避けては通れない道、ということになります。
「こども誰でも通園制度」今後の課題は?
モデル事業を行う園のある保育士は「週に1回程度の通園だと育ちの支援までたどり着くのに時間がかかるかもしれない」と語っています。その子の特性を見定めて、さらに保護者との信頼関係を築くには、もう少し通園頻度を増やしてもいいのではないか、とも指摘しています。
子ども家庭丁の有識者会議でも、「とにかく人材の確保が課題。人材がいなくてはこの事業の実行は不可能に近い」と語っています。
同庁は今年の9月中には有識者で検討会を立ち上げる予定とのこと。課題を整理し、議論を重ねて、今年度内に運営方針をまとめる予定とのことです。そしてモデル事業をさらに拡大してこの事業を全国に普及させてい意向です。
これから必要とされる「インクルーシブ教育」
保育所はこれから様々なニーズに対応しようとしています。国はそれを「保育園尾多機能化」と位置付け促進をしていくそうです。その一つに「インクルーシブ教育」があります。
今まで、障害のある子どもとそうでない子どもとでは、集団保育が難しい状況でした。その一つの理由として、厚生省令で認められていなかったことが挙げられます。しかし、昨年の省令改正で改善されました。
ある地方都市の保育園では児童発達支援事業所を併設し、今年の4月にオープンしました。園では、障害のある子もない子も一緒になって約60人が一緒に過ごしています。
児童発達支援事業所に通う子どもたちは、言葉が遅かったりこだわりが強かったりする子がいます。職員は「人間関係など、障害のある子が一緒に学ぶことはいいこと」と語っています。
保育所の子どもたちは、障害の有無で相手を判断しません。例えば「少し運動が苦手だけどやさしい友達」のように見ているそうです。いろいろな事情がある子どもいて当たり前、という環境は、自分自身を受け入れてもらえる、という感覚にも働きます。障害のある子、ない子、それぞれが共に育ち学べる環境が整っているのです。
これからは全国的にインクルーシブ教育支援が求められていくでしょう。