これからのインクルーシブ教育、学びの多様化とは

子育てノウハウ

中央教育審議会の特別部会による論点整理から、次期学習指導要領の方向性が明らかになってきました。
多様な背景や特性を持つ児童生徒への配慮を重視し、通級による指導を必要とする子どもや、不登校の児童、特定分野において顕著な能力を持つ子ども、日本語の支援が求められる児童などに対応するための、特別な教育課程の整備や新たな枠組みの導入が検討されています。
(※2025年9月28日 朝日新聞の記事を参考に要約しています。)

狛江市立狛江第三小学校の挑戦「多様性を受け入れる学びの場づくり」

東京都狛江市にある市立狛江第三小学校では、すべての子どもが共に学べる環境づくりを目指し、インクルーシブ教育に力を入れています。
通級指導の中心校として、特別支援学級も設置されており、児童数642人のうち、近隣の1校と合わせて128人が週2回の通級指導を受けています。
所水奈校長は、「さまざまな背景や考えを持つ人がいることを自然に理解できる子に育ってほしい」と話します。
この学校では、文部科学省が行った通級指導の実践研究事業に、2021年度と2022年度の2年間取り組みました。
研究期間が終わった後も、教員たちはその志を継ぎ、「インクルーシブ有志の会」を自主的に立ち上げました。約30人が複数のグループに分かれ、それぞれのテーマで研究を進めています。
教職員同士が授業や子どもとの関わりについて気軽に相談し合える雰囲気が築かれています。
学校では、「社会モデル」という考え方を取り入れ、障がいは本人ではなく、環境や社会のあり方に課題があるという視点から工夫を重ねています。
通常学級でも、雑音を遮断するイヤーマフの使用や、床にカーペットを敷いた学習環境の整備、座卓の導入など、多様な学習スタイルに対応できるよう工夫しています。
さらに、特別支援で使用される教材やアプリケーションも、どの学級でも自由に活用されています。
「インクルーシブ有志の会」のコーディネーターを務める森村美和子指導教諭は、「今回の教育課程の見直しにより、より柔軟で個別に対応した学びの場が広がることで、通常学級の子どもたちにとっても救いになるはずです」と話します。
中央教育審議会の特別部会がまとめた論点整理では、不登校、特定分野において高い能力を持つ子、日本語支援が必要な子、通級による支援が必要な子などを対象に、個別に対応する教育課程の拡充が提案されています。
通級においても、教科の指導が可能となり、特別支援学級や特別支援学校で行われる「自立活動」の見直しも示されています。
森村指導教諭は、「例えば、漢字がうまく書けない子がいる場合、その背景にある特性を理解した上で支援が必要です。
すべての教室で、さまざまな学びの方法を認め合える環境を整えることが大切です」と述べています。
テストにおいても、「記述が苦手な子には問題の数を減らしたり、代筆を取り入れたりと、柔軟な対応が望まれます」と語ります。
一方で、課題もあります。
現在、通級指導を受ける128人を11人の教員で担当しており、その中には新任の先生も含まれています。
主任教諭の塚原宏美先生は、「いきなり教科指導を求められても戸惑ってしまいます。
これまでは教科は担当しない方針でしたから」と心情を語り、担任との連携がこれまで以上に重要になること、そして時間的制約も課題であると話しています。

広島県の取り組み「多様な学びのかたちを支える」

広島県では、学校に通うことが難しい子どもたちに対して、多様な学習環境を提供する取り組みが行われています。
中央教育審議会の論点整理では、不登校の児童生徒が増加している現状を受け、教育支援センターなどで学ぶ子どもたちに向けた新たな教育課程の導入が提案されました。
県内では、子どもの状況に応じた柔軟な学びを支えるために、対面とオンラインの両方で独自の教育プログラムを展開する教育支援センター「SCHOOL“S”」をはじめ、各市町の教育支援センターや、校内で自分のペースで学習できる「SSR(スペシャルサポートルーム)」など、さまざまな選択肢が用意されています。
それぞれの児童生徒の特性やニーズを丁寧に分析したうえで、個別の支援計画を立て、多様な教育プログラムを活用して支援が行われています。
広島県教育委員会で「個別最適な学び」を担当する蓮浦顕達課長は、学習指導要領の改訂について、「同じように学校に通えない子どもでも、校内のSSRに通っている子もいれば、そもそも通学自体が難しい子もいます。
不登校の背景はさまざまで一律には語れません。
だからこそ、研究開発学校などの実践を踏まえ、国がある程度の基本方針を示しながらも、それぞれの子どもに合った柔軟な教育課程が組めるようにしていただきたい」と語っています。