【子どもを入園させる園の選び方】~幼稚園、保育園、こども園の違いを理解しましょう

キッズパーク豆知識

初めての子育てをしているお父さんやお母さんにとっては、お子さんの入園も初めての経験です。「幼稚園に入れたらよいか、保育園に入れようか迷う」という人や、「幼稚園と保育園の違いがよくわからない」という人もいるでしょう。就学前の子どもが通う施設には、主に「幼稚園」「保育園」「認定こども園」があり、それぞれの中にもいくつかの種類があるため、まずは園の違いをしっかりと認識することが必要です。

今回は「幼稚園」「保育園」「認定こども園」について解説します。

 

幼稚園・保育園の違いとは

ほとんどのお父さんとお母さんが、幼少期に幼稚園か保育園のどちらかに通った経験があると思いますが、幼稚園と保育園の違いを知っていますか?違いは知っていても認識を少し間違えていたり、時代とともに変化してきた現状を知らなかったりする人もいます。まずは、混同しやすい幼稚園と保育園の違いについて理解しましょう。

 

【幼稚園】

管轄…文部文部科学省

法律教育基本法

施設の種類教育施設(学校)

専門職…教員(幼稚園教諭)

教育(保育)課程幼稚園教育要領

対象年齢3,4,5歳児

 

【保育園】

管轄…厚生労働省

法律…児童福祉法

施設の種類…児童福祉施設

専門職…保育士

教育(保育)課程…保育所保育指針

対象年齢…0,1,2,3,4,5歳児

幼稚園と保育園は小学校就学前の子どもが通う施設であるという点は同じですが、大きな違いは管轄が異なることです。幼稚園は文部科学省の管轄で小学校や中学校と同じ学校に区分され、保育園は厚生労働省の管轄で児童福祉施設となります。そのため、一般的に「幼稚園は教育をするところで、保育園は託児所的な施設」と捉える人が多くいるのです。

一口に保育園と言っても各園の保育方針はさまざまで、保育園でも幼稚園と変わらない教育的活動を行う園は多くあるにもかかわらず、長きにわたって託児所のようなイメージをもつ人は多くいました。しかし、2018年に「幼稚園教育要領」と「保育所保育指針」が改正され、保育園も幼児教育施設と明確に位置づけされたのです。

 

そして、もう1つの大きな違いは入園基準と対象年齢でしょう。幼稚園は、3歳の誕生日を迎えた子どもなら専業主婦など保護者が仕事をしていなくても誰でも入園できるのに対し、保育園は保育に欠ける子どもという条件があります。“保育に欠ける”とは、「両親ともに働いている」「家族の看護や介護をしている」など家庭で子どもを保育することができない状態です。入園の決定権は、公立保育園だけではなく私立保育園も市区町村にありますが、入園希望者が多い園は「パートより正社員」「短時間勤務より長時間勤務」など、保育に欠ける条件が高い人のほうが有利になります。

求職中の状態でも入園申請はできますが、現在仕事をしている人に比べると不利になるだけではなく入園後も仕事が決まらず一定の猶予期間を過ぎてしまうと入園の継続ができなくなってしまうため注意が必要です。

 

また、幼稚園は3歳以上の子ども達が対象で、保育園は0歳から入園ができるので、お子さんが3歳未満児のうちに仕事復帰などで預けなくてはならない人は幼稚園ではなく保育園を選ぶ必要があるでしょう。

保育時間も早朝と夕方の延長保育を含めて長時間預けることができる保育園に比べ、幼稚園の保育時間は短くなっています。そして、教育施設である幼稚園には夏休みや冬休みなどの長期休暇がありますが、保育園には長期休暇はありません。したがって、親の仕事などの状況によって幼稚園にするか、保育園にするのか判断することになるでしょう。尚、保育時間は各園によって異なるので、事前に確認しましょう。

 

認可保育園と認可外(無認可)保育園

幼稚園と保育園も学校と同じように、公立(県立や市立など)と私立があり、さらに公立以外の保育園には認可保育園と認可外(無認可)保育園があります。認可保育園と認可外保育園の違いは、以下の通りです。

 

認可保育園

概要

児童福祉法に基づき、国によって定められた基準を満たし、都道府県知事によって認可された保育園。(基準には、面積、職員数、衛生管理など、さまざまな項目があります。)

入園申請

自治体(市区町村)に申請。申請には、保護者の勤務状況、収入状況がわかるもの(源泉徴収法等)が必要。

保育料

保護者の収入、子どもの人数により、行政が決定する。(自治体から運営費の補助がでているため、保育料が抑えられていることが多い。)

メリット

国の基準を満たしているため安心感がある。

入園の基準が自治体によって公開されている。

デメリット

入園の決定は自治体が行うので、希望した園に入れない可能性がある。

 

認可外保育園

概要

都道府県知事による認可を受けていない保育園。(認可を受けない園には、都市部にあるため園舎が狭く、基準が満たせないなどの理由がある場合もあります。)

入園申請

各園に直接申請。

保育料

園ごとに金額を設定。(行政から運営費の補助はないため、金額が高めの園が多い。)

メリット

保育に欠けていなくても入園できる。

独自の特色を打ち出している園が多く、様々な形態があるため、認可保育園にはないサービスが受けられる園がある。(企業内や病院内の保育園、24時間保育、居宅訪問型等)

デメリット

報道等により、事故や不適切保育が多いなどのマイナスイメージをもつ人が多い。

 

認可外保育園の設置基準は、認可保育園に比べて厳しくないことや「認可外」という言葉のイメージから不安を感じる人もいるでしょう。しかし、認可外保育園には「認可外保育施設指導監査基準」という基準が設けられており、自治体が立ち入り調査を行います。そして、保育士の配置基準や災害対策など安全面の基準は認可保育園と同様ですので安心してください。

上記したように、認可外保育園の中には立地の関係で面積が狭くて基準が満たせないなどの事情がある園もあります。また、園独自のサービスを提供するために敢えて認可を受けずに運営している方針の園もあるため、ほかにはない園独自の特色を魅力に感じて入園を希望する人もいるのです。

不適切保育や事故が起こったとして報道される園は、認可外保育園が多いイメージがある人は多いでしょう。しかし、認可外保育園の中にもしっかりした運営やきちんとした保育を行っている園はたくさんあります。自分自身の目で確かめたり口コミを参考にしたりして、入園先を検討することをおすすめします。

尚、幼稚園の場合、公立の園の保育料は自治体が決定し、私立幼稚園の保育料は各園が設定しています。

 

認定こども園とは?

幼稚園、保育園同様就学前の子どもが通う施設として“認定こども園”という施設を聞くことがあると思います。保護者の皆さんが子どもの頃にはなかった、新しい施設です。

 

こども家庭庁のホームページには、「教育・保育を一体的に行う施設で、いわば幼稚園と保育所の両方の良さを併せ持っている施設」と書いてあります。つまり、幼稚園と保育園それぞれの特徴を兼ね備えた“保育・教育”のための施設であり、文部科学省と厚生労働省とも連携を図っているのです。

認定こども園には、以下の4つのタイプがあります。

 

幼保連携型

幼稚園と保育園の両方の機能を兼ね備えていて、教育機関かつ児童福祉施設として文武科学省と厚生労働省からの認可を受けて運営します。認定こども園の中では、このタイプの園が最もたくさんあります。

 

幼稚園型

幼稚園に、保育園の機能が追加されたタイプのこども園です。施設の位置づけとしては幼稚園(教育施設)であり、「幼稚園教育要領」に基づいた教育を行います。

 

保育園型

認可保育園に、幼稚園の機能が追加されたタイプです。したがって、施設の位置づけは保育園(児童福祉施設)で、「保育所保育指針」に基づいて保育を行います。

 

地方裁量型

認可外の幼稚園及び保育園に、認定こども園の機能が追加されたタイプです。施設の数は、4つの中で最も少ないです。

 

認定こども園の園児は、1号認定(幼稚園)・2号認定(保育園 3~5歳児)・3号認定(保育園0~2歳児)の3つに分かれています。幼稚園・保育園の入園基準と同様、専業主婦など保育に欠ける条件を満たしていない場合は、1号認定に入園することはできません。「1号認定で入園したけど途中で仕事を始めたので2号認定に変更したい」とか、その反対に「2号認定で入園したけど、仕事を辞めたので1号認定に変更したい」という場合は、園の定員に空きがあれば可能です。

 

まとめ

初めてのお子さんを、これから入園させるという保護者の方に向けて、幼稚園・保育園・認定こども園の違いについて紹介しました。簡単に考えると、お父さんかお母さんのどちらかが専業主婦(主夫)のおうちは幼稚園、共働きのおうちは保育園に入園させるのがよいでしょう。そして、認定こども園は幼稚園と保育園のよいこところを併せ持っているので、どちらの場合でも入園できます。

保育や教育の内容は、「幼稚園だから」「保育園だから」「認定こども園だから」ということよりも、園によってさまざまです。特に私立や無認可の園は各園それぞれに特色がありるため、入園前には複数の園を見学し、家族でよく相談したうえで納得した園に入園の申込をしましょう。