男性は長時間労働で評価されるべき?育休取得の大きな壁
子育てノウハウ
2025.02.14
「育休」を取得する男性の数はここ数年で着実に増加しています。
一方で、子育てと仕事の両立に悩み、「育児離職」を選ぶ男性も存在します。
子育てに取り組む男性たちの前には、依然として多くの壁が立ちはだかっています。
2024年11月19日は「国際男性デー」でしたが、その現実が浮き彫りとなる日でもありました。
(※2024年11月19日 朝日新聞の記事を参考に要約しています。)
目次
男性の育休取得と職場環境がもたらす課題と変化
午前7時に起床し、朝食を作りながら10カ月の長女のオムツを替え、長男(7)を小学校へ送り出し、次男(4)を保育園に預けた後は、自宅で長女の世話をする――。大阪市に住む会社員、川西啓司さん(37)は現在、1年間の育児休業中です。ただし、「長男と次男の時には、育休を取るという発想すら浮かびませんでした」と振り返ります。
川西さんの妻が第1子を妊娠したのは2016年。当時、彼はフリーランスの講師として夜遅くまで仕事をしていました。その後、「月の残業10時間以下」を掲げる物流会社に転職しましたが、2017年に長男が生まれ保育園に通い始めると、40代の男性上司から厳しい視線を感じるようになりました。長男の発熱で仕事を休むと、「奥さんは休めないのか」との言葉を浴びせられ、川西さんは「申し訳ない」という思いを募らせました。その結果、より子育てしやすい環境を求めて転職を決意します。
2020年に次男が生まれたものの、周囲で男性が育休を取る例はなく、自身も取得を考えることはありませんでした。しかし、2023年から父親同士が体験を語り合うコミュニティーに参加したことで意識が変わります。そこでは3カ月や半年の育休を取るのが当たり前で、1年間取得する男性もいました。「男性も育休を取っていい」と初めて実感した川西さんは、今年、所属部署で初となる育休取得を実現しました。
厚生労働省の調査によると、男性育休の取得率は2016年度の3.2%から2023年度には30.1%に増加しています。しかし川西さんは「社会の風潮は変わりつつあるものの、誰にも悩みを話せず苦しんでいる父親も多いのではないか」と語ります。男性が子育てに積極的に関われる社会を目指し、さらなる変化が求められています。
男性が直面する職場の偏見と「イーブン夫婦」の実践
「これは女性たちが長年経験してきたことだ」と実感した男性たちがいます。
関東地方の男性(46)は、4年前に政府から「女性活躍推進」の認定を受けたコンサルティング会社に転職しました。入社直後、子どもの発熱で休むと連絡した際、50代の男性上司から「休みますじゃなくて、休んでもいいですか?だろう」と叱責されました。
父子家庭で育ち、幼いころから弟の世話をしてきたこの男性にとって、家事や育児は自然なことでした。しかし、子どもの都合で休む社員への批判的な声が聞こえる社内環境では、次第に妻に家事を頼るようになってしまいました。今年、会社を退職し独立の道を選びました。
また、川崎市の男性(36)は2019年に第1子の妊娠が分かり、監査法人勤務中に育休取得を決意しました。しかし、複数の男性上司から「昇進を逃してもいいのか」「育児はママに任せればいい」と呼び出されて言われました。半年間の育休を終え職場に復帰すると、今度は「子育てパパ」として扱われ、仕事のチャンスを得る機会が減ってしまいました。「これは女性たちが経験してきたことだ」と気づいた男性は、今年退職を決断しました。
現在、この男性は家事も育児も妻と平等に分担する「イーブン夫婦」として、新しい生活を無理なく楽しんでいます。男性が育児に参加する環境整備の必要性が、改めて問われています。
男性育休取得者の4割が退職・転職を検討する現状
東京に拠点を置く「XTalent」は、2019年から共働き家庭の親を対象とした転職支援サービスを提供しています。当初はほとんどいなかった男性利用者が、現在では全体の3割を占めています。新規登録者は年間1,000人に達し、その多くが30代後半の男性です。
同社が紹介する転職先は、ITを中心とした成長中の新興企業が多く含まれています。代表の上原達也社長(36)は、自身も仕事と子育ての両立に悩んだ経験を持ち、「多様な事情を抱える人が働き続けられる環境を整えなければ、人材は流出してしまう」と語っています。
一方、転職サイト「マイナビ」が実施した調査によると、今年、20~40代の会社員800人を対象に行われたネット調査では、男性育休取得経験者のうち39.5%が「育児との両立を理由に退職または転職を検討したことがある」と回答しました。
この結果は、育児と仕事の両立を支える職場環境の必要性を強く示しています。男性が育休を取得しやすいだけでなく、復職後も安心して働ける職場づくりが、今後の重要な課題となっています。
男性育休目標達成への課題と「ダディトラック」の懸念
政府は、男性の育休取得率を2025年に50%、2030年に85%とする目標を掲げています。しかし、リクルートワークス研究所の筒井健太郎研究員(40)は、「個人の意識や社会規範は徐々に変化し、育児を支援する制度も整いつつあるものの、『男性は長時間労働で評価されるべき』という価値観が根強く残る企業は依然として多い」と指摘しています。
また、筒井研究員は、育休取得後に重要な仕事を任されなくなる「マミートラック」の男性版とも言える「ダディトラック」や、不本意な退職の増加を防ぐためには、「これまで育児に積極的でなかった男性経営陣や上司の意識改革が不可欠だ」と述べています。
男性の育児参加を促進するためには、制度の充実だけでなく、企業文化や上層部の価値観の変革が必要であることが改めて問われています。
男性育休に関する企業への義務とその拡大のために
「男性育休」に関連して、企業に課される主な義務は以下の通りです。
(1)育休取得やその申し出を理由とした解雇や不利益な取り扱いの禁止
(2)配偶者が妊娠・出産した従業員に対し、育休制度の周知や取得意向の確認
(3)毎年の育休取得率の公表義務
現在は従業員1,000人を超える企業が対象ですが、2025年度からは従業員300人を超える企業にも拡大される予定です。
これらの取り組みは、男性が育児に積極的に関われる環境づくりを支える重要な一歩として位置付けられています。
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